430.揺らされる心
2009.06.25 [ Edit ]
「なんか寂しい。」
「なんでやろ?」
「いろいろ出来るようになってきてるのも感じる。」
「治ってきてるのかなって思う。」
「そやけど、気持ちがしんどいんや。」
「北村さんの仕事、続けられるやろか?」
「この日までにって言わはったとき、出来へんかったらどうしょう。」
「”こも”のおっちゃんの絵も描いてるけど、こんなんあかんって言わはったらどうしょう。」
「北村さんも、焦らんでええって言うてくれたはる。」
「”こも”のおっちゃんは、30年以上描いたはるプロの絵描きさんや。」
「おまえが、すぐに描けるはずがないって言うてはったやろ。」
「線が、生きるように描けへん。」
「そんなことは、当たり前や。」
「おっちゃんも言うてはったやろ、プロになれへんかってもかまわへん。」
「自分の描いた絵を人にあげて、喜んでもらえたらうれしいやろって。」
「おまえは、こうでなかったらあかんって思いすぎるんや。」
「ゆっくり進んだらええねん。」
キムチのチングから、彼の幼馴染で、染織図案家の先生の、
下絵描きの仕事をしてみないかと誘ってくれて、
ゲンが亡くなった日に、その先生のお宅に連れてもらって、
どんな仕事なのかの説明を聞いてきたのです。
「なんでやろ?」
「いろいろ出来るようになってきてるのも感じる。」
「治ってきてるのかなって思う。」
「そやけど、気持ちがしんどいんや。」
「北村さんの仕事、続けられるやろか?」
「この日までにって言わはったとき、出来へんかったらどうしょう。」
「”こも”のおっちゃんの絵も描いてるけど、こんなんあかんって言わはったらどうしょう。」
「北村さんも、焦らんでええって言うてくれたはる。」
「”こも”のおっちゃんは、30年以上描いたはるプロの絵描きさんや。」
「おまえが、すぐに描けるはずがないって言うてはったやろ。」
「線が、生きるように描けへん。」
「そんなことは、当たり前や。」
「おっちゃんも言うてはったやろ、プロになれへんかってもかまわへん。」
「自分の描いた絵を人にあげて、喜んでもらえたらうれしいやろって。」
「おまえは、こうでなかったらあかんって思いすぎるんや。」
「ゆっくり進んだらええねん。」
キムチのチングから、彼の幼馴染で、染織図案家の先生の、
下絵描きの仕事をしてみないかと誘ってくれて、
ゲンが亡くなった日に、その先生のお宅に連れてもらって、
どんな仕事なのかの説明を聞いてきたのです。
その先生は、私も、昔から知っている人で、
チングと20歳のころにいっしょに作ったサッカーチームが、
市のリーグで何回も優勝していた時に、応援に来てくれたりしていた彼の親友です。
下絵描きと言っても、ほんとに絵を描くのではなくて、
先生が鉛筆描きした図案の線をサインペンでなぞっていくというものです。
ただし、その線が、先生いわく、
「生きてる線でないとあかん。」
「生きてる線が描けるように何回も練習したらええ。」
「ただし、仕事として渡した時には、納期もあるし、精度も求める必要もある。」
ということでした。
でも、それだけではなく、
「出来るから、ちゃんと教えてやるから、安心したらええ。」
こうも言ってくれていました。
それでも、娘には、焦燥感なのでしょう。
心が、どきどき揺れているようです。
「タイトクのおっちゃんに紹介してもらって、すごい嬉かったんやけど。」
「すごく不安で、行けへん、行きたくないって思ってたんや。」
「先生の家に行ったの、ゲンが死によった日やったやろ。」
「ゲンが、連れて行ってくれよったんやと思ったんや。」
「だから、頑張らんとあかんと思ってるんや。」
「でも怖いんや。」
「出来へんかったらどうしょう。」
「続けられへんかったらどうしょう。」
「あかんって言われたら、どうしょう。」
「しんどくて、身体がふるえてくるんや。」
「そんなに深刻に考えんでもええ。」
「焦らんでもええし、出来たらでええんや。」
私の心の中では、娘に、頑張れ頑張れって言ってる、私の声がするのです。
無理するなより、本音のところでは、チャンスなんやから頑張れと考えてしまっています。
でも、口に出しては言えないジレンマ。
それを言ってしまったら、振り出しに戻ってしまう。
当たり前が言えない悔しさ。
娘の中でも、この闘いがあるのだと思います。
激しい闘いなのだと思います。
悪魔に娘の心が揺らされているような気がしています。
チングと20歳のころにいっしょに作ったサッカーチームが、
市のリーグで何回も優勝していた時に、応援に来てくれたりしていた彼の親友です。
下絵描きと言っても、ほんとに絵を描くのではなくて、
先生が鉛筆描きした図案の線をサインペンでなぞっていくというものです。
ただし、その線が、先生いわく、
「生きてる線でないとあかん。」
「生きてる線が描けるように何回も練習したらええ。」
「ただし、仕事として渡した時には、納期もあるし、精度も求める必要もある。」
ということでした。
でも、それだけではなく、
「出来るから、ちゃんと教えてやるから、安心したらええ。」
こうも言ってくれていました。
それでも、娘には、焦燥感なのでしょう。
心が、どきどき揺れているようです。
「タイトクのおっちゃんに紹介してもらって、すごい嬉かったんやけど。」
「すごく不安で、行けへん、行きたくないって思ってたんや。」
「先生の家に行ったの、ゲンが死によった日やったやろ。」
「ゲンが、連れて行ってくれよったんやと思ったんや。」
「だから、頑張らんとあかんと思ってるんや。」
「でも怖いんや。」
「出来へんかったらどうしょう。」
「続けられへんかったらどうしょう。」
「あかんって言われたら、どうしょう。」
「しんどくて、身体がふるえてくるんや。」
「そんなに深刻に考えんでもええ。」
「焦らんでもええし、出来たらでええんや。」
私の心の中では、娘に、頑張れ頑張れって言ってる、私の声がするのです。
無理するなより、本音のところでは、チャンスなんやから頑張れと考えてしまっています。
でも、口に出しては言えないジレンマ。
それを言ってしまったら、振り出しに戻ってしまう。
当たり前が言えない悔しさ。
娘の中でも、この闘いがあるのだと思います。
激しい闘いなのだと思います。
悪魔に娘の心が揺らされているような気がしています。
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