514.躓きの記憶
2009.10.14 [ Edit ]
もう4年が過ぎたのか、5年前だったか、
娘が急激に、良くなってきた感じがして、
外に出れるようになって、ハスキーのゲンと散歩に行くことが出来て、
「このごろ、すごく気持ちがええねん。」
「もうちょっとで、治る感じや。」
そんな娘の明るい発言があって、
「二人で、自転車買ってサイクリングしようか?」
ということになって、ミニサイクルを2台買いました。
病気になって、気に入っていた自転車が汚れているからと捨ててから、
何年が経過したのか、久しぶりに乗る自転車に、つかの間の明るい娘がいたものでした。
私が、焦らなければ、そのペースが続いて、躓くこともなく、
今は、もっと楽になっていたのかもしれません。
私の焦りからの、苦い思い出です。
琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川、最後は淀川となって大阪湾まで流れ行く最初の出口。
そのあたりに、琵琶湖にまたがる近江大橋があります。
古来から有名な瀬田の唐橋の手前に架かる橋で、
全長1.3kmの有料道路となっている橋です。
その橋の西側の付け根の辺りに、膳所城跡公園があります。
「水に浮かぶは、膳所の城」と謳われた美しい天守があった場所です。
今は、つわものどもが夢の跡になっているだけで、
城の形はまったく残ってなくて、桜の季節に花見で少し賑わう程度の小さな公園です。
家から、娘と自転車で、その膳所公園まで来て、
ベンチに腰掛けて、芽吹く寸前の桜の木を二人眺めていたことを覚えています。
「近江大橋を渡ってから、唐橋を渡って戻って、石山寺まで行こうか?」
「ええなあ、そうしようか。」
ということになりました。
娘が急激に、良くなってきた感じがして、
外に出れるようになって、ハスキーのゲンと散歩に行くことが出来て、
「このごろ、すごく気持ちがええねん。」
「もうちょっとで、治る感じや。」
そんな娘の明るい発言があって、
「二人で、自転車買ってサイクリングしようか?」
ということになって、ミニサイクルを2台買いました。
病気になって、気に入っていた自転車が汚れているからと捨ててから、
何年が経過したのか、久しぶりに乗る自転車に、つかの間の明るい娘がいたものでした。
私が、焦らなければ、そのペースが続いて、躓くこともなく、
今は、もっと楽になっていたのかもしれません。
私の焦りからの、苦い思い出です。
琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川、最後は淀川となって大阪湾まで流れ行く最初の出口。
そのあたりに、琵琶湖にまたがる近江大橋があります。
古来から有名な瀬田の唐橋の手前に架かる橋で、
全長1.3kmの有料道路となっている橋です。
その橋の西側の付け根の辺りに、膳所城跡公園があります。
「水に浮かぶは、膳所の城」と謳われた美しい天守があった場所です。
今は、つわものどもが夢の跡になっているだけで、
城の形はまったく残ってなくて、桜の季節に花見で少し賑わう程度の小さな公園です。
家から、娘と自転車で、その膳所公園まで来て、
ベンチに腰掛けて、芽吹く寸前の桜の木を二人眺めていたことを覚えています。
「近江大橋を渡ってから、唐橋を渡って戻って、石山寺まで行こうか?」
「ええなあ、そうしようか。」
ということになりました。
「わたしの自転車、タイヤに空気が入ってへんわ。」
「どこか、自転車屋さんで、空気入れてもらおうか。」
「におの浜の、DIYの店に自転車コーナーがあったなあ、あそこまで行こうか。」
タイヤに空気を入れるために、まず、そのDIYの店によることにしました。
二人で、楽しく出発です。
湖岸の道を、少し走ったところで、
娘が強迫症になるきっかけとなったプリンスホテルが見えてきました。
「あの場所を克服できれば、病気が治る。」
そんな建物です。
琵琶湖岸にそびえる美しいホテルですが、
私たち親娘にとっては、憎むべき病気のルーツです。
そこで、今でも悔やんでいる、とんでもない失敗をしてしまいました。
「プリンスホテルのそばの道は、通らんといてや。」
この娘の訴えを退けて、強引に、
「大丈夫や。」
こう言って、笑いながら、ホテルの側の道を二人で急いで通り抜けたのです。
そう、その時は、二人で笑いながらだったのです。
「よかった。」
まったく単純に私は喜んでいました。
通り過ぎて、DIYの店に着いた時、
娘の様子がおかしいのに気づきました。
顔が真っ青で、息が激しくて、
「どうした?」
「疲れたのか?」
返事がなく、間もなく過呼吸の発作になりました。
「しんどい、いやや、いやや、いやや。」
泣きじゃくって、さっきまでの娘はいなくなって、
私がいることさえ気づかないように、一点を見つめて泣き叫ぶ娘がいました。
治まるまで一時間ほど、湖岸のベンチで泣いている娘を抱きしめていました。
通っていく人が、みんな、変な目で見ていきました。
それから、自転車には乗れずに、プリンスホテルが見えない道を探しながら、
おおきく遠回りをして家までたどり着きました。
「そんな簡単なものじゃないんや。」
落ち込んで、大いに反省しました。
可愛そうなことをした、ひどい父親です。
それから、しばらくは、病気の症状は元に戻り、
しんどい毎日が、また続きました。
スゴロクの、「振り出しに戻る」っていう感じです。
この、「振り出しに戻る」と言う感じを、この十数年、何度も何度も味わいました。
何度、味わっても慣れないもので、辛い悲しい感覚です。
打ちひしがれるっていう言葉は、こんな時にあるんやなあと思う感覚です。
それから、数年、自転車に乗れなかった娘が、最近、自転車を買いました。
しっかりした、丈夫なミニサイクルで、時々ですが、気にいって乗っていました。
ところが、その自転車を、妹娘が通勤に使い出して、
「お姉、この自転車ちょうだい。」
「うん、ええで。」
姉は、病気であっても、自分が弱っていても、姉なのです。
妹に、まったく嫌な顔は見せずに、
「ええ自転車やろ?大切に乗りや。」
「それから、気をつけて乗るんやで。」
にこにこしながら、そんなふうに言っています。
そこで、すぐに姉娘に自転車を買ってやると言ったら、
絶対にいらないと言うだろうことが見えています。
迷惑をかけたくない気持ちと、
妹は自分のお古で、自分が新品は、気持ちが許さないと言う理由からです。
それが解っているので、タイミングを見計らっていました。
「父さん、もうすぐ宮崎遠征に行くから、自転車買ったるわ。」
「妹に自転車あげたから、一人で出かけようと思っても行けへんやろ。」
「一人で、出かけられへんから、ええわ。」
「いや、父さんがいてなかったらヒマやから、行けるって。」
「そうやなあ、チャレンジしようかなあ。」
ということで、新しい自転車を買いました。
気にいって、喜んで乗っています。
もちろん、自由に出かけられませんし、いろんな覚悟をして、
いろんな準備があって、決意をして、それからやっと乗れるという状態ですが、
喜んで乗っています。
自転車を買って喜んでいる娘を見ながら、
焦りからの躓きを思い出していた私です。
あの躓きから、あっという間の数年が過ぎ、
焦ったらあかんなあっていうことが、よくわかって、
「焦らんように、でも、諦めんと。」
そんなふうに、しっかり考えて進んでいこうとしている私がいます。
「ずっと、同じことの繰り返しやなあ。」
「でも、がんばろ。」
「どこか、自転車屋さんで、空気入れてもらおうか。」
「におの浜の、DIYの店に自転車コーナーがあったなあ、あそこまで行こうか。」
タイヤに空気を入れるために、まず、そのDIYの店によることにしました。
二人で、楽しく出発です。
湖岸の道を、少し走ったところで、
娘が強迫症になるきっかけとなったプリンスホテルが見えてきました。
「あの場所を克服できれば、病気が治る。」
そんな建物です。
琵琶湖岸にそびえる美しいホテルですが、
私たち親娘にとっては、憎むべき病気のルーツです。
そこで、今でも悔やんでいる、とんでもない失敗をしてしまいました。
「プリンスホテルのそばの道は、通らんといてや。」
この娘の訴えを退けて、強引に、
「大丈夫や。」
こう言って、笑いながら、ホテルの側の道を二人で急いで通り抜けたのです。
そう、その時は、二人で笑いながらだったのです。
「よかった。」
まったく単純に私は喜んでいました。
通り過ぎて、DIYの店に着いた時、
娘の様子がおかしいのに気づきました。
顔が真っ青で、息が激しくて、
「どうした?」
「疲れたのか?」
返事がなく、間もなく過呼吸の発作になりました。
「しんどい、いやや、いやや、いやや。」
泣きじゃくって、さっきまでの娘はいなくなって、
私がいることさえ気づかないように、一点を見つめて泣き叫ぶ娘がいました。
治まるまで一時間ほど、湖岸のベンチで泣いている娘を抱きしめていました。
通っていく人が、みんな、変な目で見ていきました。
それから、自転車には乗れずに、プリンスホテルが見えない道を探しながら、
おおきく遠回りをして家までたどり着きました。
「そんな簡単なものじゃないんや。」
落ち込んで、大いに反省しました。
可愛そうなことをした、ひどい父親です。
それから、しばらくは、病気の症状は元に戻り、
しんどい毎日が、また続きました。
スゴロクの、「振り出しに戻る」っていう感じです。
この、「振り出しに戻る」と言う感じを、この十数年、何度も何度も味わいました。
何度、味わっても慣れないもので、辛い悲しい感覚です。
打ちひしがれるっていう言葉は、こんな時にあるんやなあと思う感覚です。
それから、数年、自転車に乗れなかった娘が、最近、自転車を買いました。
しっかりした、丈夫なミニサイクルで、時々ですが、気にいって乗っていました。
ところが、その自転車を、妹娘が通勤に使い出して、
「お姉、この自転車ちょうだい。」
「うん、ええで。」
姉は、病気であっても、自分が弱っていても、姉なのです。
妹に、まったく嫌な顔は見せずに、
「ええ自転車やろ?大切に乗りや。」
「それから、気をつけて乗るんやで。」
にこにこしながら、そんなふうに言っています。
そこで、すぐに姉娘に自転車を買ってやると言ったら、
絶対にいらないと言うだろうことが見えています。
迷惑をかけたくない気持ちと、
妹は自分のお古で、自分が新品は、気持ちが許さないと言う理由からです。
それが解っているので、タイミングを見計らっていました。
「父さん、もうすぐ宮崎遠征に行くから、自転車買ったるわ。」
「妹に自転車あげたから、一人で出かけようと思っても行けへんやろ。」
「一人で、出かけられへんから、ええわ。」
「いや、父さんがいてなかったらヒマやから、行けるって。」
「そうやなあ、チャレンジしようかなあ。」
ということで、新しい自転車を買いました。
気にいって、喜んで乗っています。
もちろん、自由に出かけられませんし、いろんな覚悟をして、
いろんな準備があって、決意をして、それからやっと乗れるという状態ですが、
喜んで乗っています。
自転車を買って喜んでいる娘を見ながら、
焦りからの躓きを思い出していた私です。
あの躓きから、あっという間の数年が過ぎ、
焦ったらあかんなあっていうことが、よくわかって、
「焦らんように、でも、諦めんと。」
そんなふうに、しっかり考えて進んでいこうとしている私がいます。
「ずっと、同じことの繰り返しやなあ。」
「でも、がんばろ。」
Comment
強迫性障害への理解
匿名さんへ
強迫障害じゃなくても、人を理解すると言うことは難しいものだと思います。
でも、理解できなくても、理解してもらえなくても、
人と共に歩くことは、必要なことだと思います。
「人との付き合いなんて、もう、いらん。」
こんなふうに思うときも、いっぱいありますよね。
でも、次の一瞬には、人の助けを求めている自分がいます。
「娘さん、正直に楽になれたら良いですね。」
貴方の、この言葉のありがたいこと、温かいこと。
これで、私は生きられるのです。
「ゆっくり、好きに過ごしてください。」
好きに過ごせていない人に、このアドバイス。
そうするには、どうすればいいかの答えを捜している人に、このアドバイス。
いや、医師の悪口ではないのですよ。
なんとなくは、解る答えですし、正解なのですもんね。
もっと言えば、そうとしか言えないものだとも思います。
「ゆっくり、好きに過ごしてください。」
これの答え探しを、仲間ですれば、すこしだけ楽なのかなと私は考えています。
匿名さんも、「ええかげん」に生きるにはどうしたらいいのか考える仲間に入ってください。
そして、いっしょに歩きましょう。
時々、暗闇に絶望しそうな時、トンネルの暗闇で仲間が差し出してくれる手に触れたときは、
安心をもらえるものです。
一人じゃないと思うこと、大事なことだと思うのです。
いつでも、いっしょに歩いている仲間がいると思ってください。
いつでも、無茶苦茶でもいいから、毒を吐きにきてください。
でも、理解できなくても、理解してもらえなくても、
人と共に歩くことは、必要なことだと思います。
「人との付き合いなんて、もう、いらん。」
こんなふうに思うときも、いっぱいありますよね。
でも、次の一瞬には、人の助けを求めている自分がいます。
「娘さん、正直に楽になれたら良いですね。」
貴方の、この言葉のありがたいこと、温かいこと。
これで、私は生きられるのです。
「ゆっくり、好きに過ごしてください。」
好きに過ごせていない人に、このアドバイス。
そうするには、どうすればいいかの答えを捜している人に、このアドバイス。
いや、医師の悪口ではないのですよ。
なんとなくは、解る答えですし、正解なのですもんね。
もっと言えば、そうとしか言えないものだとも思います。
「ゆっくり、好きに過ごしてください。」
これの答え探しを、仲間ですれば、すこしだけ楽なのかなと私は考えています。
匿名さんも、「ええかげん」に生きるにはどうしたらいいのか考える仲間に入ってください。
そして、いっしょに歩きましょう。
時々、暗闇に絶望しそうな時、トンネルの暗闇で仲間が差し出してくれる手に触れたときは、
安心をもらえるものです。
一人じゃないと思うこと、大事なことだと思うのです。
いつでも、いっしょに歩いている仲間がいると思ってください。
いつでも、無茶苦茶でもいいから、毒を吐きにきてください。
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娘さん、正直に楽になれたら良いですね。